
About Sacred Drama 聖劇について

聖劇とは
通常のお芝居と何が違うのでしょうか?
今回、アマテラフスェスティバルの演目の中に、聖劇「岩戸開き」があります。
日本神話の岩戸開きを題材にした、演劇です。
通常のお芝居と、聖劇は何が違うのでしょうか?
聖劇の意図をお話してみますね。
グラストンベリー女神神殿において
とても大切にされている
もののひとつが
聖劇=セイクレット・ドラマです。
それは
「女神の力を伝える演劇」
であり
「失われた神話を再構築する芸術」

【女神の力を伝えるアート】
聖劇とは、神聖な存在(特に女神)を演劇を通じて表現し、言葉、詩、姿を伝えるための芸術です。
ただの物語ではなく、演じることで神聖な力を目に見える形にし、観る人々に神話やスピリチュアルなメッセージを届けます。
なぜ聖劇を行うのか?
【失われた神話や女神のパワーを再構築する】
聖劇は単に古い神話を語り継ぐためのものではありません。
むしろ、忘れ去られた女神の力や神秘を取り戻し、神話を新たな形で語り直すために行われます。
特に西洋の神話では、男性神が中心になりがちですが、聖劇では女神に主役にし、男女のバランスを回復させることを目的とする場合もあります。
【具体的な例】
例えば、古代ギリシャの女神「デメテル」の聖劇を行うとします。
物語は、デメテルが娘のペルセポネを冥界から取り戻す話を演じることで、母と娘の愛、春の訪れ、再生の力を表現することができます。
これによって、観る人々も「生命の循環」や「女性の持つ創造力」について深く考えるきっかけを得るでしょう。
春分の日に「岩戸開き」の聖劇が行われる意義。
【春分は生命の再生のとき】
「春分」の日、光と闇の長さが等しくなり光が戻ってきたことを告げる祝祭。
オスタラ(春分)は大地からのエネルギーが沸き上がり、生命が芽吹く季節です。
冬が終わり、まだ寒かったり雨が降ったりすることもありますが、
日中はだんだん暖かい日が増えてきます。
オスタラになると女神である自然は活動を始め、すべての生命を再生させます。
グリーンの炎が一気に燃え(萌え)広がり「緑」が「生命」が再生する時。
岩戸開きのものがたりは、「再生」=魂振りの物語。
活力を失った魂を振り動かし、静め、蘇らせる。
春分=オスタラの再生のエネルギー、
生命エネルギーの復活を感じてもらうのにピッタリな演目です。
失われた女神のパワーを再構築する

今回、岩戸開きの神話に出てくる神々を、女性が演じ女神として再登場させています。
その中で
岩戸開きの物語で、占いを行い、岩戸の前で祝詞を奏上した神「天児屋根命」がいます。
今回「天の児屋根の巫女(あめのこやねのみこ)」という名で、女神として登場します。
古代の日本は、祭祀は女性が司っていたと言われています。祭祀王が神と人の間を取り持ち祭り(祭祀)をし、統治王が人と人の間を取り扱い、政治(まつりごと)を行っていました。この、祭祀王は女性であったと言われています。女性祭祀のひな形として、大切な配役だと思っています。
また、天石屋戸に隠る天照大御神の御手を取って引き出した神に「天之手力男神」がいます。
今回、「天之手力女(あめのたじからめ)」という女神として登場します。いわば、彼女はゲートキーパーであり、境界の向こう側に入ることもでき、境界を閉じることもできる。結界の守り手として、母のような愛と霊力で女神を引き出し、しめ縄をはり結界を作ったのです。


陰陽がバランスする春分の日に問う 光と闇のバランス

今回の、岩戸開きでは神話の再構築として、神話の中には出てこない「ツキヨミヒメ」が登場します。
三貴子(みはしらのうずみこ)の一柱 夜の食国(おすくに)を統べる月読命を女神化しました。
光、光と24時間明るくして眠らない世界を作った現代。
光は、生命エネルギーの源であり、成長をもたらし、現実的な日常を生き抜く行動力を与えてくれます。
一方、闇は、いわば目に見えない世界、霊的な世界、心のうごき。闇は再生と休息(動かない)をもたらします。
今は目に見える世界重視に傾いていて(唯物主義、科学万能、お金が中心の世界)、霊的なこと、心の世界は少し後回し。
もっと、闇や、夜の司る目に見えない霊的なことを大切にし、思考のみではなく、心(ハート)に中心に置くということにバランスを戻すことは、今の時代の「岩戸開き」に必要なことかもしれません。
春分は、昼と夜がバランスを取り、アンバランスになっているものやことを見直すのに最適な日。当たり前になっていて気づかなかった「アンバランス」になっていることや物、を見直すキッカケになるかもしれません。


Special Thanks
今回の聖劇でアマテラスを岩戸から引き出す時に使用した、重要な小道具の「鏡」を鏡師である石谷 傳氏が作成して下さいました。
さらに、石凝姥命役&天児屋根の巫女役のアマテラスシスターズと
鏡の神様である石凝姥命を祀る和歌山の「日前神宮」と「伊太祁曽神社」に鏡を持って報告の参拝に行って下さいました。
心より感謝です∞